【実例:万年筆】手軽にペン先を交換&調整:ラミー「サファリ」「アルスター」 [万年筆]
【実録】書き味の良い万年筆のペン先調整方法。▼ラミーの万年筆のペン先を調整!自分にあったペン先で使いやすい万年筆に!▼書き味のよい万年筆▼スラスラ ヌラヌラ 字幅調整 イリジウム
ラミーの万年筆のペン先素材はステンレス製。硬い感触。万年筆初心者や筆圧の高い人におすすめ ◆
ラミーの万年筆「サファリ」「アルスター」は、万年筆の入門用に最適なモデル。
この万年筆は、引きぬくだけでペン先を交換できます。
ペン先が単体(1000円以下)で販売されているので、 失敗を気にせずに自分好みのペン先に仕上げることが可能。
わたしは「ラッピングフィルム」(目の細かいヤスリ)を使って、ペン先を調整しています。
自分の書き癖に合った「書き味の良い万年筆」の味を知ってしまうと、もう手放せません!
以下、万年筆のペン先調整の方法を紹介します。
また、インクが乾燥してかすれたりインクフローが悪くなった場合の対処法も最後に載せてあります。
1.ペン先を外す
ペン先の調整方法に入る前に、ペン先を交換する方法を紹介しておきます。
ラミー「アルスター」のペン先
ペン先はセロハンテープを使うと、簡単に引き抜けます。
ラミーのペン先とペン軸
(クリックすると拡大します)
2.ペン先を研磨して好みの書き味に仕上げる
「趣味の文具箱 Vol.11 P.90」にプロのペン先調整方法が、「趣味の文具箱 vol.8 P.112」にラッピングフィルムを使ったペン先の調整方法が出ています。
これらの記事を参考にして、ペン先の調整にチャレンジしてみました。
「もっと知りたい!ペン先のこと 万年筆のペン先の基本とプロの調整技」
( 趣味の文具箱 Vol.11 P.90 )
【ペン芯の構造と役割】ペン芯には軸内からペンポイントまでインクを届け、余分なインクを蓄えて調整する機能がある。ペン芯の中央に深く刻まれたインク溝がペン先とピッタリ密着することで極細の管となり、毛細管現象が働いてインクを先端まで導く。インク溝両脇のより太く浅い空気溝は、ペン先から出たインクの分だけ軸内に空気を取り込んでいる。ペン軸周辺のクシ溝は、余分なインクを保持して、ボタ落ちを防いでいる。
「プロの調整」( 趣味の文具箱 Vol.11 )
ペン先のチェックポイントについて、大きな図で解説されていて分かりやすい内容!
【万年筆ペン先の不具合】・切り割りの間隔が広すぎる/間隔が詰まりすぎている◆ペンポイントの左右位置がズレている。◆腹開き(ペン先切り割りのペン芯側が広がっている状態。)◆背開き(ペン先の表側の切り割りが広がった状態。インクフローが悪い)【ペン先の削りによる調整】丸め不足/不揃い/内面研ぎ過多(馬の尻と呼ばれる状態)◆切り割りの間隔を変えるだけであれば、研磨や分解をしなくても指先の調整のみで改善できる可能性がある。
ペン先調整時のルーペの使い方
◆【ルーペの持ち方】ルーペの付け根を握る。ルーペの中心軸を使い、垂直に視線を置くと万年筆のペン先にピントが合いやすい。観察する際に、どこかに支点を作る。指と指で支えたり、ペン先の肩に小指を当てたりする。
記事の取材協力先であるセーラー万年筆の長原幸夫さんが4年ぐらい愛用しているのは、エッシェンバッハのルーペ(倍率12倍)だそうです。 価格は8,500円ぐらい。
アプラナート(凸レンズを2枚組み合わせたタイプ)で、拡大像の収差(歪み)を最小限に抑えている設計。
精密 繰り出しルーペ [folding metal magnifiers] 12倍 23mm 工業用精密検査用 117612 エッシェンバッハ
- 出版社/メーカー: エッシェンバッハ
- メディア: エレクトロニクス
お手頃価格のルーペであれば、国産のシンワも。価格1,200円台。
シンワ ルーペ C 高倍率収納型 2枚組 13mm 10倍・20倍
- 出版社/メーカー: シンワ測定
- メディア: Tools & Hardware
ペン先を調整するために、「ラッピングフィルム」を使って少しずつ磨きます。
3M 精密仕上げ用研磨フィルム ラッピングフィルム <特長>細めから極細目、磨き仕上げまでできるフィルム研磨材。◆均一で粗キズのない超精密仕上げが安定して得られます。◆使いやすい大きさ、形に切って使えます。◆水、油などと併用できます。
目の細かさによって色分けされています。
#1200:12μm、黄色◆#2000:9μm、水色◆#4000:3μm、桃色◆#8000:1μm、薄緑色◆#10000:0.5μm、深緑色
ラッピングフィルムは、厚みが均一、表面が平滑、その上に大きさを精密に揃えた砥粒をコーティングしているので、超精密仕上げが可能です。 (対研磨紙、研磨布との比較)
#4000番のラッピングペーパーでペン先を研磨中。
左右の両方向から「8」を描くようにペン先を磨きます。
あまりガリガリやり過ぎると、ペン先の紙との接触部が平坦になって字が太くなります。
軽く擦るようにして面を出しつつ、時々ラッピングフィルムを指先に置いて、その上から斜めにペン先を磨くことにより、面出しした平坦部の角を丸めるような感じで仕上げていきます。
目の細かい#10000番を使うと、なぜかインクの乗りが悪くなるので、もっぱら#4000を使っています。
最後にペンポイントの裏側を^型に折ったラッピングペーパーで軽くゴシゴシ。
これによって、ペン先による紙への引っ掛かりが解消するケースがあります。
調整したペン先。(ラミー アルスター EF(極細)、F(細))
紙への引っ掛かりもなく、スルスル書けるようになりました。
ラミーのペン先はやや硬めで、かつインクフローが適量で出過ぎないので、勉強やビジネス、手帳への書き込みなど、普段使いの万年筆に向いていると思います。
筆記見本。研磨前より若干太くなっています。インクはプラチナの顔料ブルー。
(クリックすると拡大します)
書き味のいい万年筆は、まさに「手放せない一本」になりますよ~。
Macbook Airに似合う万年筆:ラミー アルスター(グラファイト) 【注意】万年筆のペン先調整は自己責任でお願いします。基本的にメーカーの修理保証を受けられなくなりますので、高価な万年筆では控えた方が無難です。ペンクリニックのようなところで調整してもらう手もあります。◆万年筆のペン先の素材は金の合金製とステンレス製の2種類がある。ステンレス製はスチール製のペン先と呼ばれることもある。金のペン先とステンレスのペン先で書き心地は大きく異なる。金のペン先は紙にペン先をつけた時にしなるので、筆圧の強弱によって文字の太さやインクの濃淡の変化をつけやすい。筆圧を高くしなくても、紙にペンをすっと置くだけで書けるので、長時間の筆記でも手が疲れにくい利点がある。価格は、日本製なら1万円から、外国製なら2〜3万円から購入できる。◆一方、ステンレス製のペン先は硬くてしなりが少ない。ビジネス用途のようにバリバリ書いたり、手帳に細かく書き込んだりする用途に向いている。値段も1,000円程度から入手でき、お手頃な価格。
ラッピングフィルム ペン先をヤスリで研磨する■ヤスリの番手は何番を使うべきか?
・ラッピングフィルムで研磨した万年筆のペン先 超拡大画像
万年筆のペン先 ペンポイントの電子顕微鏡写真 SEM写真 イリジウム 溶接 研磨 形状 ペン先の理想的な形とは?
研磨後のペン先の形状がどうなっているのか気になったので、電子顕微鏡で撮影してみました。
対象は3本。ラミーのEF(未研磨と研磨後の2種類)、F(研磨後)
万年筆のペン先は、太ければ太いほどインクフローが良く、力を入れなくてもなめらかな書き心地になる。細いとメモ帳や日記帳に細かく書き込めることから、仕事など実用的なシーンで使えることが多くなる。細横罫の手帳や日記帳に用にM(中字)では太すぎるので、F(細字)やEF(極細字)を選ぶのも手。ラッピングフィルムのペン先調整により、EFやFでも、万年筆らしい筆のような強弱、止め、はらいを表現できる太字のペン先風に仕上げることが可能。
筆記テスト
ラミーの万年筆で字を書く際には、胴軸の真ん中あたりを持ち、ペンを寝かせて書くようにしています。
EF(極細字)の未研磨は筆圧を変えても太さが変わらず、カリッと硬めの書き心地。
手帳に細かく書き込むのに向いています。
EFのペン先を研磨した後は、中字ぐらいの太さになり、サラサラした書き味に変化。
F(細字)の研磨後は、かなり太めに。字のハネが筆のようになるのがお気に入り。
ヌラヌラ感もあり、力を入れなくてもインクフローが良く、滑るような感覚。
ラミーの万年筆のニブ(ペン先)は、ラミー・サファリとラミー・アルスターで共通仕様なので、どちらのペンでも交換して使用できます。◆ラミーのニブはシルバーとブラック(黒メッキ)仕様があります。個人的にはブラックのペン先の方が書き味がいいような気がします。(材質の違いは特になさそうなので、気持ちの問題かもしれませんが・・・)特にブラックのEFはニブ単体の価格が高いので、製造に手間がかかっているのかもしれません。
【ペン先の太さと用途】細字、中字(英語ですと、EF(極細字)、F(細字)、M(中字)):ノートへの筆記に適した標準的な太さ。外国製とくらべて日本製の方が細い傾向があります。◆太字(英語だとB):手紙の宛名など、しっかりと太字で書きたいときに適している。
ラミー EFのペン先(未研磨)
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非常に美しい曲線に磨き上げられています。紙と点で接触するイメージ。
ペン先未調整でも引っ掛かりがないかき心地は、この研磨の仕上がりにありそうです。
ラミーEFのペン先(ラッピングフィルムで調整後)
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書き癖にあわせて紙と接する面が平たくなっています。
このため、字が太くなります。
ラミー Fのペン先(研磨後)
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ラッピングフィルムで研磨後に試し書きしてみると、横方向に線を引いた際に引っかかりがあったので、平面部周辺の角を取るように研磨していたことから、全体的に丸みを帯びた形状になっています。
3.インクフローが悪くなった・インク詰まりの対処法
ラミーのアルスターにエルバンのヴィオレパンセを入れていた一本をドライアップ(乾燥)させてしまったところ、インクが膜状に固化して、インクフローが極端に悪くなってしまいました。
プラチナの「万年筆クリーナー」に一晩漬けてみましたが、あまり効果がありません。
仕方がないので、水で洗浄後に分解してみました。
ペン軸からペン芯が抜けません。セロテープだと粘着力が負けてはがれてしまいます。
そこで、粘着力の強いガムテープでやってみると・・・
「エィッ!」と気合一発で、スポッと抜けました
インクが付着して、ボロボロの状態。
こりゃぁ、インクが流れないのも無理はない・・・
(クリックすると拡大します)
ペン芯のカバーを外したところ、インク溝と空気溝が詰まっていました。
(クリックすると拡大します)
残念ながら、ここまでひどいと「万年筆クリーナー」でも落とせません。
まず、綿棒で表面に付着した汚れをはがします。
インク溝はラッピングフィルムで削ります。
刃物やカッターで削って穴を広げたり、空気溝との境界面を傷つけてしまうと、毛細管現象によるインクの流れが悪くなるため、要注意!
汚いカスがゴッソリと!
ラミー・アルスターはシンプルなデザインと色合いがMacbook Airにピッタリ!
ラミー・アルスター(グラファイト)とMacbook Air
<参考文献>
特集記事「ペンの達人になるための 万年筆の作法と流儀」に、万年筆のペン先調整法やメンテナンス方法が解説されています。
「もっと知りたい!ペン先のこと 万年筆のペン先の基本とプロの調整技」に、プロのペン先調整方法が紹介されています。
<関連サイト>
・ラミー(サファリ・アルスター)のペン先(ニブ)を販売しているサイト
価格は680円から。
ラミーのペン先(ニブ)◆通販◆Amazon◆楽天◆格安◆輸入品
・Amazon ・・・わたしはここのお店からペン先を買いました。
ラミー LAMY 万年筆 替えペン先 ニブ ブラック サイズ:EF(極細字) LZ51 BLK 「並行輸入品」
- 出版社/メーカー: LAMY
- メディア:
ラミー LAMY 万年筆 替えペン先 ニブ シルバー サイズ:EF(極細字) LZ50 SIL 「並行輸入品」
- 出版社/メーカー: LAMY
- メディア:
・ Lamy Safari/Alstar 分解方法◆ラミーのサファリやアルスターを分解・清掃する方法
・ラッピングフィルム
ペン先を研磨するために使います。
・ ルーペ ペン先調整の必需品!
ドイツ製のエッシェンバッハのルーペ(倍率12倍)。アプラナート(凸レンズを2枚組み合わせたタイプ)で、拡大像の収差(歪み)を最小限に抑えている設計。 価格は8,500円ぐらい。
精密 繰り出しルーペ [folding metal magnifiers] 12倍 23mm 工業用精密検査用 117612 エッシェンバッハ
- 出版社/メーカー: エッシェンバッハ
- メディア: エレクトロニクス
・国産のシンワ。価格1,200円台。
シンワ ルーペ C 高倍率収納型 2枚組 13mm 10倍・20倍
- 出版社/メーカー: シンワ測定
- メディア: Tools & Hardware
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<関連サイト>
●プロのペン先調整
・ペンドクター 川口明弘氏によるペン先調整(動画:Facebookより)
<Amazon>
◎ラミー サファリ スケルトン
ラミーの万年筆で一番人気のアイテム。
・ペン先:M(中字) ・ペン先:F(細字) ・ペン先:EF(極細)
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- 出版社/メーカー: LAMY
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zon
◎ラミー アルスター
・ペン先 中字(M)
LAMY Al Star 万年筆 ブルー/グリーン ミディアム (L32M)
- 出版社/メーカー: LAMY
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- メディア: オフィス用品
・ペン先:F(細字)・・・・・・・・・・
LAMY ラミー AL-Star アルスター 万年筆 2022年限定モデル ホワイトシルバー White Silver (F:細字) [並行輸入品]
- 出版社/メーカー: LAMY
- メディア:
・ペン先:M(中字)
◎ラミー 万年筆 インクコンバータ
ラミーの万年筆には必須のアイテム。
LAMY ラミー コンバーター LZ28 アルスター サファリ abc用 正規輸入品
- 出版社/メーカー: LAMY
- メディア: オフィス用品
【LAMY AL-STARについて】1997年発売。ラミー・サファリのデザインを踏襲し、サファリより若干太いアルミボディを採用したモデル。 デザイン:ウルフギャング・ファビアン 定価:5775円(万年筆) 参考:http://www.lamy.jp/company/history.html
【万年筆選び】ボールペンに慣れている人が万年筆で書いた場合、筆圧が高くなりがちなので、ステンレス製のペン先を持つ万年筆の方が書きやすい。金のペン先でも日本製か外国製かによってやわらかさに違いがある。日本製の万年筆の場合、書き出しのインクが出やすいため、漢字を書くのに適している。◆メーカーやペン先の太さによって書き心地は全く異なるので、できるならいろいろと試し書きした上で自分にあった万年筆を選ぶのが長く使う秘訣。
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ラミー アルスター 万年筆 修理 インクカートリッジ インクコンバータ 書き味 ペン先 太さ 硬さ やらわかさ 弾力 ぬらぬら ヌラヌラ インクフロー 14金 鉄 レビュー 比較 国産 ドイツ デザイン 設計 気軽 手軽 初心者 ラミー2000 デザイナー バウハウス◆インクの補充方法:①カートリッジ式、②吸入式の②種類がある。カートリッジ式はインク交換が容易。吸入式はインク瓶にペン先を入れて吸い出すため、インク吸入時にティッシュペーパーでインクをふきとる手間がかかる。コンバータと呼ばれるインクを吸入できる装置を取り付けられるカーリッジ式もある。ラミーはコンバータによるカートリッジ式。自由にインクを選べます。◆ラミー 万年筆 贈答品 贈り物 退職祝い 慰労会 予算 3000円 ギフト包装