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東海道新幹線の貨物輸送計画 【鉄道】 [鉄道関連]

最近、『日本の鉄道』(1960年)という古い本を入手しました。これは知人が家を整理していて不要になった本を譲ってくれたもの。

 

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 「日本の鉄道」(国鉄監修)朝日新聞社 1960年
  
  

この本が出版された1960年はまだ蒸気機関車が日本中を走っていて、新幹線の建設が始まったばかりという状況。本の内容は鉄道の歴史に始まり、車両、輸送、駅、国鉄の経営問題まで幅広いジャンルが精力的な取材を元に解説されています。子供向けの文体ですが、データがたくさん提示されていて、大人が読んでも楽しめます。

  

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カラーページ。左は当時の最新特急「つばめ」の車内。
 
  
 
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1954年製の「EH10」が最新型の直流機関車。
   

 本の前半では建設中の新幹線計画の話題が何度も取り上げられています。その中で興味を引いたがのが、「新幹線の貨物計画」。Wikipediaにある「新幹線の貨物輸送」の項目では、『東海道新幹線建設時の計画は、実際のところは世界銀行からの新幹線建設の資金調達のため、旅客だけでなく貨物輸送もあるというポーズをつけるための、ダミー構想といえるものであった。』と記載されています。

  

ウィキペディアでの記載とこちらの本の記述ではかなりトーンが違います。「日本の鉄道」から新幹線に関する説明部をピックアップしてみました。

 

 

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新幹線に関するコラム。この当時は交流電化が始まったばかりなのに、すでに交流電化方式の特別な電車を走らせることを決めています。また、5カ年計画を期限通りに達成させたこともすばらしいですね。
 
「新幹線の貨物計画」に関する記事は、②の「東京-大阪を、旅客列車は3時間、貨物列車は5時間30分で走らせたい」や、④の「貨物はコンテナ、あるいはトレーラーをつんで、戸口から戸口へ、という輸送方式をとる。」があります。もっとも、現在の過密ダイヤでは、貨物列車を走らせる余裕はなさそうです。

 

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新幹線をはしる貨物電車の予想図。
コンテナ車、自動車運搬車が想定されています。
 
 
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新幹線の想定車両。
  
0系を彷彿させる卵型の先頭形状なので、この時点ですでに車体形状の大枠が決まっていたのかもしれません。