【レビュー】4WD燃料電池カーで電池の研究!(夏休み自由研究) [キッズのお勉強]
夏休みの自由研究の課題として、マグネシウム燃料電池で動くモーターカー「4WD燃料電池カー」を買ってみました。2012年春に発売された新しいモデルです。エレキット JS-7903
マグネシウム燃料電池で走る4WD電池カー。4輪駆動で走ります!
昨年、原発事故の影響で福島から大分の別府に避難していたわたしの息子は、夏休みの自由研究のテーマを「電気の研究」に決め、大分の風力発電所を見学したり、モーターや発電の原理をキットで調べ、最後は圧力釜の蒸気を使ったタービンの発電実験を行ったり・・・と発電三昧の夏でした。
今年、小学校4年生になった息子の夏休み自由研究で使えそうなキットをお店で探していたところ、「4WD燃料電池カー」という見慣れない商品を息子が見つけ、「おもしろそう!」と興味を持ったので、購入してみました。
マグネシウムと酸素の反応を起電力とする「燃料電池」で走行するクルマ。
これまで見たことがないタイプの電池なので、とても興味をひかれました。
「燃料電池で動く車なら電気自動車なんだから、レシプロエンジンの部分は必要ないのでは・・・?」というツッコミを入れたくなるほど、リアルなエンジンのギミックも気に入りました
エレキット 「4WD燃料電池カー」
4つのタイヤでデコボコ道でも力強く進む4WDカー。ボディーのツイストメカでタイヤが地面をガッチリキープ! パワフルに進みます。動くためのエネルギー源はマグネシウム燃料電池で、塩水をたらすと発電します。マグネシウム燃料電池は有害物質を含まない、環境にやさしいクリーンエネルギーです。塩水は重量比で塩1:水5の場合が最も最適です。
箱の裏側。対象は10歳以上、工作時間は1時間30分が目安。
ホワイトパーツ。普通のプラモデルですが、すべてハメ込み式。
ブルーの透明パーツとゴム材質のタイヤ接地部分。
プラのパーツはバリがなく、シャープで精度が高い印象。
メカ&電気パーツ。ギア、モーター、電極板、セパレータなど。
組み立て説明書。全26ページ。
小学校4年生の息子は、父の助けを借りずに、ひとりで組み立てていました。
モーターとギアの構成。
ちょっと分かりにくかったのが、タイヤの接続。
開口部の下からT字部をくぐらせてからはめ込みます。
うまく動かない時のチェック項目一覧があったりして、かなり親切な内容です。
発電部分のパーツ。
左からマグネシウム金属シート、不織布(セパレータ)、黒色電極(炭素電極)シート。
不織布はツルツルしていて、和紙のような感触。
マグネシウム極板
反応が始まるとマグネシウムがイオンとして析出していくため、徐々に消耗していきます。使用可能時間は一回で15分程度、洗うと再び使えるようになり、一枚あたりトータルで約3時間とのこと。消耗パーツも売っています。
黒色電極(炭素電極)
粗面化処理(エッチングかプレス処理)したアルミニウムの表面にバインダーと混ぜた炭素(カーボンブラック?)を塗布したと推測。指で強くこすると黒い粉が付着します。
電池を使うと、電極表面に析出物が付着するために洗浄する必要がありますが、強く洗うとカーボンが剥離してしまうので、注意!
駆動用モーター。かなり小さいです。
燃料電池セルに塩水(電解液)を浸すところ。
塩水は自分で計量してつくります。塩1:水5 の割合が最適とのこと。
豆電球を使って電池の動作確認。点灯しました!
耳を澄ますと「パチパチパチ・・・」と、泡がはじける音がします。
電極部分でガス(水素)が発生しているようです。
テスターを使って、起電力を測定してみました。
↓
電池電圧は最高で1.15Vを指しました。
なお、標準電極電位から求めた起電力は 2.764V とのこと。
では、実際に走らせてみましょう!
4WDの全輪駆動ということもあり、かなりパワフルです。
V型エンジンと水平対向エンジンを模したエンジンのギミックもかなり凝っていて、設計者の熱意を感じさせます。
わざわざ「水平対向エンジン」に変換できるよう設計しているあたり、設計者はスバルの熱烈なファンなのかも・・・?
自由研究用に購入したので、今後はセル電圧の時間変化と状態観察、電解液の種類を変えた影響調査(例:レモン汁やポカリスエットを使ってみる、等)、他のタイプの手作り電池を使って動きを比べてみる実験などをやってみたいですね。
・マグネシウムについて調べる
「マグネシウム」について調べるために、上野の国立科学博物館で2012年夏に開催されている「元素のふしぎ展」にでかけてきました。
息子の「元素体重計」の結果。体に含まれている元素の量が表示されます。
重量が多い方から酸素、水素、炭素の順番。
マグネシウムは 7g(0.007kg) 含まれているそうです。
人間の体は20種以上もの元素が必須で、61%が酸素、23%が炭素、10%が水素、2.6%が窒素、1.4%がカルシウム、1.1%がリンで、残りは1%に満たない元素から構成されています。微量でも摂取が必須な元素には鉄、亜鉛、銅、マグネシウムなど一般にミネラルと呼ばれている元素が含まれています。このような元素は体内で様々な働きを担っていて、一つでも元素がなくなると、病気になり死に至ることがあります。 O,C、H、N
元素冷蔵庫。食品に含まれている元素の紹介。
マグネシウムは、タンパク質を作るのに欠かせない元素。
マグネシウムは、ワカメ、大豆、ごま、昆布に多く含まれていることがわかりました。
<関連サイト>
・ 【改造】4WD燃料電池カー → 「太陽電池」に換装して走行テスト[レビュー]
燃料電池カーのマグネシウム空気電池の部分を太陽電池(ローラーセル)に載せ替えることで、ソーラーカーとして走らせることもできます。学校や子ども会、地域の工作教室での教材としておすすめ。
<電池の自由研究のための参考サイト>
・ 空気マグネシウム電池の製作と活用(新里中学校 小林明郎氏)
→ 電池の原理や実験の状況が丁寧に解説されています。電池の原理を理解するために必読!
→マグネシウム1次電池の特徴と課題がわかります。実験の考察に最適。
・ 手作り電池〜キウイ電池からスライム電池〜(産総研・サイエンス・タウン)
・ 2012年夏 国立科学博物館 特別展「元素のふしぎ」みどころ 元素の不思議 げんそのふしぎ
【夏休み 理科の自由研究のテーマ】 磁石、太陽電池(ソーラーパワー)、音、鏡などを使った実験。
水溶液の働き イオン 電池 磁石 エネルギー モーターの働き 直流 直列と並列の違い
<Amazon> 通販で購入できる夏休み自由研究の教材・キット 小学3年生 小学4年生 小学5年生 小学6年生 中学生 小学三年生 小学四年生 小学五年生 小学六年生
・自分が買ったお店では1995円でした。
・マグネシウム電極は消耗品なので、交換シートが発売されています。
マグネシウム燃料電池カー(JS-7900)用 交換シートセット
- 出版社/メーカー: イーケイジャパン
- メディア: おもちゃ&ホビー
・電圧測定に使ったアナログマルチテスター
デジタルより感覚的に分かりやすいので好みのタイプ。目盛りを読む練習にもなります。
夏休みの自由研究は頭の痛いテーマ。家族でお盆に帰省したり、遠くへ旅行(海外旅行など)に行ったりする前に宿題を早めに片付けて、すっきりした気分でお出かけしたいもの。